講座のカリキュラムは、最後に到達してほしい状態から逆算して、章を並べると作れます。教えたいことを順番に詰め込むのではなく、受け取る人が迷わず進める道を作るのが、章立ての役目です。
ここでは、ゴールの決め方、章の分け方、順番、削り方、そして学びを定着させる工夫を、順に説明します。
ゴールを具体的な行動で決める
カリキュラムの出発点は、「最後に何ができるようになるか」です。「表計算ソフトを理解する」ではなく、「毎月の家計簿を1人で作れる」のように、行動で表します。
行動で書くと、必要な知識や練習が見えてきます。家計簿を作れるようになるには、入力、計算の式、集計、見やすい表のまとめ方が必要だと分かります。これが、章の候補になります。
ゴールは1つに絞ります。複数のゴールを並べると、講座が長くなり、受講する人が途中でやめやすくなります。
必要な要素を書き出して、グループに分ける
ゴールに必要な知識や手順を、付箋かメモに1つずつ書き出します。思いつく限り出したら、似たもの同士をまとめて、グループにします。
グループが、章の候補です。章の数は、5〜8個が扱いやすい範囲です。多すぎると全体像が見えにくくなり、少なすぎると各章が重くなります。
各章には、一言で言える名前をつけます。「基本の入力」「計算の式」のように、中身が想像できる名前が良いです。
順番は「やさしい→難しい」と「全体→部分」
章を並べる順番には、基本の型があります。
- 全体像と完成イメージを見せる
- 準備と基本の知識を学ぶ
- 一番よく使う操作から練習する
- 応用や例外を扱う
- 実際に1つ作ってみる
最初に完成イメージを見せると、受講する人が「何のためにこれを学ぶのか」を理解し、モチベーションを保ちやすくなります。
また、前の章を理解していないと次の章が分からない、という並びにならないよう確認します。章Aの前提が章Cにあったら、順番を入れ替えます。
入れすぎないために、削る
講座を作っていると、教えたいことがどんどん増えます。しかし、受講する人が求めているのは、全部の知識ではなく、ゴールへ進むための必要な部分です。
削るかどうか迷ったら、次の質問をします。
- この内容がなくても、ゴールに到達できるか
- 受講する人が、後から自分で調べられる内容か
- 説明に時間がかかるわりに、使う場面が少なくないか
答えが「なくても到達できる」なら、思い切って外します。外した内容は、特典や、次の講座の材料として取っておきます。
目安として、最初の講座は1〜2時間で終えられる量にします。短く完結させるほうが、最後まで見てもらえる割合が高まります。
理解を確かめる問いと課題を入れる
動画を見るだけでは、内容は身につきにくいものです。各章の最後に、簡単な問いや小さな課題を入れると、学びが定着します。
- 「次の例で、どの式を使いますか」のような確認の問い
- 「自分の場合で、1つ表を作ってみましょう」という課題
- 章の要点をまとめたチェックリスト
課題は、5〜10分で終わる大きさにします。重すぎると、取り組まれずに終わってしまいます。
また、よくある間違いを章ごとに入れておくと、つまずきを先回りして防げます。「ここで多くの人が間違える」と一言添えるだけでも、助けになります。
受講する人の時間を意識する
カリキュラムを作るとき、見落としやすいのが、受講する人の使える時間です。仕事や家事の合間に学ぶ人が多いので、1日で終わる量か、数日に分けて進められる量かを意識します。
章の長さは、1回の視聴で区切りがつく大きさにします。10分以内の章なら、通勤時間や休憩時間にも見られます。反対に、1章が40分もあると、途中でやめて再開するのが難しくなります。
また、学習の進み方を示す工夫もあります。「第3章まで終わったら、基本はおしまいです」のように区切りを伝えると、見通しが立ち、続けやすくなります。
難しい内容を扱うときの考え方
専門的な内容を扱う講座では、説明の順番がとくに大切です。一度に多くの新しい用語を出さず、1章につき新しい用語は3つ程度に抑えます。
用語を出すときは、日常の言葉に言い換えて説明します。たとえば「変数」なら、「値を入れておく箱」のように、イメージできる説明を添えます。ただし、たとえ話に頼りすぎると、かえって混乱する場合もあるので、短く使って、すぐ実際の例に戻ります。
構成表の例
具体的なイメージがつかめるよう、「毎月の家計簿を表計算ソフトで作る」講座を例に、構成表を示します。これはあくまで例で、実在の講座ではありません。
| 章 | 内容 | 長さの目安 |
|---|---|---|
| 1 | 完成イメージと準備 | 5分 |
| 2 | 入力と表の形 | 10分 |
| 3 | 合計を出す式 | 10分 |
| 4 | グラフで見やすくする | 10分 |
| 5 | 1か月分を実際に作る | 15分 |
この表を見れば、全体で約50分、5つの章で完結することが分かります。受講する人は、全体の見通しが立つので安心して取り組めます。販売ページにも、この構成表をそのまま載せられます。
一度作った構成を見直す
構成は、作った後に見直します。見直すときは、日をあけて、頭を切り替えて読み返すと、冷静に判断できます。
- 同じことを、章を変えて繰り返していないか
- 説明なしに専門用語が出てきていないか
- 章ごとの長さが極端にずれていないか
見直しの結果、長すぎる章は2つに分け、短すぎる章は前後の章にまとめます。
講座を公開したあとは、受講した人の質問が、構成を改善する最高の材料になります。多くの人が同じ所で質問してくるなら、その前の章の説明が足りていない証拠です。質問の内容を記録して、次に直すときの優先順位にします。
カリキュラムは、一度決めたら終わりではなく、育てていくものです。受講した人の声を聞き、必要な章を足し、不要な章を削ることで、少しずつ使いやすい講座になっていきます。最初の版は、7割の完成度で出して構いません。
章の名前は、買う人が最初に目にする部分でもあります。「第1章 基礎」より「第1章 入力の基本を30分で押さえる」のほうが、何を得られるかが伝わります。
販売ページには、章の題名と長さを載せておくと、買う前の判断材料になります。
構成を決めるとき、他の講座の目次を参考にするのは有効ですが、そのまま写すのは避けます。参考にするのは「どんな項目が扱われているか」という全体像までにして、自分の対象とする人に合わせて、順番と深さを組み立て直します。同じ題材でも、初心者向けと経験者向けでは、構成がまったく変わります。
次にやること
今日は、ゴールを一文で書き、それに必要な要素を15個ほど書き出してください。次に、似たものをまとめて5〜8個のグループにし、順番をつけます。
並べ終えたら、友人や知人に見せて、「どこが分かりにくいか」を聞きます。他人に見てもらうと、自分の頭の中だけでは気づかなかった順番のずれが見つかります。構成表が固まったら、最初の章から台本づくりに進みます。




